『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』感想

異性愛「反生殖主義に勝ったッ! 第2部2章完!」

 『FGO』第2部2章『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』を攻略しました。以下、その感想です。

・まさかのメインシナリオでの奈須きのこの続投。というわけで大満足でした(ここで順接は失礼かもしれませんが、みんな内心ではそう思っているでしょう?)。ただ1章ではあきらかにアタランテ周りのシナリオだけ別のライターでしたが、2章でも1-2節あたりは円居挽らしき雰囲気を感じました。奈須きのこが連投していると、『喧嘩稼業』や『HUNTER×HUNTER』や『咲-saki-』が長く休載を挟まずにいるときと同じで、嬉しい反面、不安にもなりますね。

・言峰がカドックを拉致。ホームズたちはラスプーチンの霊基が消滅したことを知らないだけで、ここでの言峰は本人で合っていますよね。言峰、『Fate/stay night』でも遠坂や士郎にやたらとかまっていましたし、けっこう子供好きですよね。遠坂や士郎の扱いもうまいし、案外、教師とか向いているんじゃないでしょうか。

・カドックに続いてクリプターまさかの陰キャ集団。『永久凍土帝国 アナスタシア』はおおむね「チア部を追いだされたあの娘をナードの僕がプロムでクイーンにする!」でしたが、2章はおおむね「陰キャの私の自分改造計画」でしたね。陰キャ・オブ・陰キャのオフェリアがリア充・オブ・リア充のナポレオンに「お前、面白いな」されたりします。陰キャの頂点、スルトがスクール・シューティングしかけるのに巻きこまれたりもします。

・いわゆる毒親… ではないにしろ、親子関係で苦しんでいたオフェリアが選んだのは「大人のいない世界」。結婚の概念がないので恋愛の概念もない。1部6章もそうですが、自分たちのサークラなり反生殖主義なりに領民を巻きこまないでください。ナポレオンやシグルド‐ブリュンヒルデ夫妻の石破ラブラブ天驚拳で倒されます。ワルキューレは死ぬ。

・ナポレオンが召喚されたのはヨーロッパ関係ということだったり、メタ的な妥当性ということだったりもあるでしょうが、北欧神話というとやはりワグナーの『ニーベルングの指輪』なので、それとの対比もあるのではないでしょうか。ポスト近代的な反生殖主義の全体主義社会に対して、古典主義のロマン派がナポレオンなり、シグルド‐ブリュンヒルデ夫妻ということです。陰キャ北欧神話が好きですしね!

 後、雑感。

ワルキューレ三姉妹:死にざまできっちり見せ場があって、よかったのではないでしょうか。

・ナポレオン:本当に快男児でビビる。作中でも明言していますが、史実とはやや独立していますね。上述のこととも関連しますが、「人々の想い」とは第二帝政以降の全体主義的な大衆の総意、万民の意思ではなく、本当に個人個人のことですね。

・シグルド‐ブリュンヒルデ夫妻:かなり夫婦感が漂います(主にシグルドの眼鏡によって)。終盤、こいつら夫婦漫才しかしていなかったな…

・オフェリア:カドックが序盤で生存が確定したので、まさか死ぬとは。ただ目立った外傷がないし、型月なので3章になったらあっさり生きていたということになってもおかしくないと思います。

・スカサハ=スカディ:全身タイツハイレグおばさんと同じ顔。終章で世界の王らしさをみせて、なかなかよかったのではないかと思います。

ゲルダ:辛い… 終結部では他の世界を消去することについて念押ししてきましたね。

 というわけで『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』、重くて熱くて面白かったです。3章のクリプターは芥ヒナコ。これではクリプターの陰キャ集団疑惑が固まってしまうではないですか