※『賭博黙示録カイジ』『嘘喰い』『ジャンケットバンク』『喧嘩稼業』『バトゥーキ』『地雷グリコ』のネタバレ注意。 1.ゲームの設定 - 天才と凡夫 - 2.デスゲームもののクソ漫画 - 凡夫と凡夫 - 3.ゲームのプレイヤーの調整 - 嘘つきと正直 - 4.い…
2023年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(https://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2023/02/08/225429) 2022年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(https://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2022/02/14/221729) 2021年度私的…
『ブルーアーカイブ』の「エデン条約編」はかなりメタフィクション的です。 ただし、メタフィクションといっても、あくまで物語に埋めこまれ、隠れたものです。 でないと、中学生が考えたようなシナリオになってしまいます(「サービス終了したソーシャルゲ…
高名な批評家であるロラン・バルトは、写真論の『明るい部屋』で「ポルノ写真はエロティックではない」と言った。 バルトはメイプルソープの作品を指し、「この写真は定型的なイメージではなく、タイツの網目に私の注意を向けさせた。これでようやく、この写…
1. 要約 2. 本論「物語に対抗する物語」 2-1. 『暗夜行路』と『枯木灘』 2-1-1. 序論 2-1-2. 『暗夜行路』 2-1-3. 『枯木灘』 2-1-4. 『U149』 2-1-4-1. 序論 2-1-4-2. 第1-3話『第3芸能課①』-『第3芸能課③』 2-1-4-3. 第4-6話『橘ありす①』-『橘ありす③』 2…
○前書 「読んでいないのに堂々と語られているSFの十大小説」というリストがあり、『クリプトノミコン』『デューン』『重力の虹』『ファウンデーション』『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』『1984』『最後にして最初の人類』『長い明日』『ダール…
2022年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(https://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2022/02/14/221729) 2021年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(https://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2021/01/06/164228) 2020年度私的…
※最新7巻まで全話ネタバレ注意 『裏バイト』怪異の影響力(X軸)・危険性(Y軸) ポジショニングマップメーカー ・凡例 ・"話数"『"話名"』 【"怪異名"】:"怪異の概要"「危険度:"0-9"」(0=中立 9=関わった人間は確実に死ぬ)「影響範囲:"1-5"」(1=個…
2021年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(https://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2021/01/06/164228) 2020年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(http://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2020/01/02/132035) 2019年度私的百…
『Twitterにおける映画感想がダメなものになりがちな理由』(https://theeigadiary.hatenablog.com/entry/2020/04/27/130621) 1. 批判を避ける、また過大評価する傾向。(「合計100兆点」など)2. レッテルが付いた作品だけは過剰に批判する。(「見る拷問…
※ネタバレ注意。 傑作です。未読のかたは書籍化を待つか、ただちに同人版を読むことをお勧めします。ただし、最終巻の『ゲーム部⑪ファイナル』と、おまけの『ゲーム部⑫エクストラコンテンツ』はダウンロード販売されていません。 (関連:『スペクトラルウィ…
「戦争は黛冬優子の顔をしていない」略解 ソーシャルゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の黛冬優子の性格分析を行う。また、その人物造形と、ソーシャルゲームというメディアの関係を分析する。 無論、ここにおける冬優子の性格とは、ただ二面性…
"本書はみなさんに、世界が崩壊寸前にあることを、証拠をそろえて提示した。これを読んだ読者の大半はおそらく、それまでの考えを一変させ、世界の終わりが近いことを信じるようになったと思う。そうして……それだけだ。この問題に見合う行動は、個人的なもの…
筆者はバンド《神聖かまってちゃん》のよき聴者ではない。公正な観点からも、各アルバムにつき、多大な魅力があるとは言えない。《神聖かまってちゃん》はいわゆる「メンヘラ」と「サブカル」のアイコンと見做されることが多い。その紋切型は、批判的には、…
批評と実作は車の両輪だ。しかし、マンガは実績のある作家による批評、解説書が乏しい(お分かりのとおり、暗に既存の批評、解説書を批判している)。 スコット・マクラウドの『マンガ学』は、例外的な秀逸なマンガの解説書だ。しかし、批評と実作は相補的な…
マンガのコマ割りの個人的な研究メモ 1.前書 実作にかかろうとしたが,その前に研究の必要を感じた.つまり,現実逃避だが,現実逃避にしてもまだ生産的なほうだろう. なぜ研究の必要があるのか. ただ映像作品の絵コンテを画面に割当てればいいなら,問…
2018年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(http://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2017/12/30/232013 ) 2019年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(http://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2017/12/30/232013) 他薦の年間百合…
恐山 「ちょっと聞いてくださいよARuFaさん」ARuFa「なんだい恐山」恐山 「半年くらい前に、オモコロで《デレステの久川凪は俺たちのことを知っているかもしれない》っていう企画をやったじゃないですか」ARuFa「あー。普通、二次元のキャラクターは三次元の…
本稿の著作権・著作人格権は完全に放棄する。無断での利用・転載はむしろ推奨する。 ○第1章『序論』p.10 子供を産むことの決断には様々な理由があるだろうが、そこに存在することになる子供の利害が含まれているはずはない。 ●『誰がそんなに幸運なのか?』…
『スペクトラルウィザード 最強の魔法をめぐる冒険』について。 《君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、或は又精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであらう。しかし僕の経験によれば、それは動機の全部ではない。のみならず大抵は動…
(※本稿は『雪が白いとき、かつそのときに限り』の犯人、犯行方法、動機に関する深刻なネタバレを含む。よって、本書を未読のものが読むことを禁ずる。) 陸秋槎の『雪が白いとき、かつそのときに限り』(稲村文吾訳、2019年、早川書房)は、2017年に中国、…
ヤングエースUPで連載されているheisoku著『ご飯は私を裏切らない』が面白い。主役は29歳、フリーター、独身、独居、中卒、職歴なし(※正規雇用について)、交友関係なしの《私》だ。《私》が短期のバイトと日雇い派遣労働で日々を過ごしつつ、食事で人生の…
ソーシャルゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』(バンダイナムコエンターテインメント)のメディアミックスであるコミックの、廾之著『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149』(以下、『U149』と表記)は高い文芸性を誇る。 その《櫻井桃華編》…
・ホラーの2つの問題 いわゆるホラーというジャンルには、質によって性格の異なる2種が存在する。これがホラーの第1の問題だ。例えば稲川淳二の怪談と、伊集院光の怪談だ。稲川淳二の怪談はしめやかに怖く、語りにより涼感を得ることができる。伊集院光の…
柄谷行人と渡部直己の対談によれば、現在、日本において《批評》というものは消えかかっており、一方で東浩紀が《ゲンロン》で、一方で山城むつみが『すばる』で、その傾向に抵抗しているらしい。 渡部:でも、海外はともかく、僕が学生の頃に日本で一番輝い…
ゼロ年代 『天気の子』を観た。 100点満点中の100点満点だった。 が、脚本は酷い。 ヒロインの陽菜が明日、誕生日だとわかる。主人公の帆高がプレゼントを用意する。「ああ、明日、悲劇的なことが起こるのだな」と予想すると、そのとおりになる。酷い。 その…
私はセカイ系が好きだ。 しかし、いわゆる《セカイ系》という定義に内容のないことはすでに周知されている。これは前島賢の『セカイ系とは何か』が詳しい。 そもそも、《セカイ系》の定義である《「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係…
野村美月の『"文学少女"』シリーズは全7作(全8巻)、本編完結後に出版された外伝が8作(巻数同じ)の構成だ。 第1巻および第8巻の後書きによると、本作は野村の持込み企画だったらしい。そして、第7巻の後書きによると、全7作の構成は企画の通りだっ…
5月27日、アプリゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』において、公式の告知として《羽沢つぐみの一部のLive2Dキャラクターの胴体部分において、想定と異なる箇所がございましたため、近日中に修正を予定しております。》なることが発表されまし…
椎名十三著『いでおろーぐ!』全7巻が思いがけない佳作だったため、感想をしるす。 第1巻のおおまかな内容は2つある。第1に、いわゆる「非モテ」による共産主義と、かつての学生運動、現代の共産主義の学生団体のパロディだ。第2に、アンチラブコメのラ…