2020-01-01から1年間の記事一覧

模造クリスタル『ゲーム部』感想 - 「日常系マンガ」の極北にして金字塔 -

※ネタバレ注意。 傑作です。未読のかたは書籍化を待つか、ただちに同人版を読むことをお勧めします。ただし、最終巻の『ゲーム部⑪ファイナル』と、おまけの『ゲーム部⑫エクストラコンテンツ』はダウンロード販売されていません。 (関連:『スペクトラルウィ…

戦争は黛冬優子の顔をしていない

「戦争は黛冬優子の顔をしていない」略解 ソーシャルゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の黛冬優子の性格分析を行う。また、その人物造形と、ソーシャルゲームというメディアの関係を分析する。 無論、ここにおける冬優子の性格とは、ただ二面性…

アポカリプス・ナウナウ - 終末モノの映画・小説・マンガ案内 -

"本書はみなさんに、世界が崩壊寸前にあることを、証拠をそろえて提示した。これを読んだ読者の大半はおそらく、それまでの考えを一変させ、世界の終わりが近いことを信じるようになったと思う。そうして……それだけだ。この問題に見合う行動は、個人的なもの…

神聖かまってちゃんの詩学 - 『Os-宇宙人』、『友達なんていらない死ね』、『ズッ友』 -

筆者はバンド《神聖かまってちゃん》のよき聴者ではない。公正な観点からも、各アルバムにつき、多大な魅力があるとは言えない。《神聖かまってちゃん》はいわゆる「メンヘラ」と「サブカル」のアイコンと見做されることが多い。その紋切型は、批判的には、…

スコット・マクラウド『THE SCULPTOR』あらすじ・感想メモ

批評と実作は車の両輪だ。しかし、マンガは実績のある作家による批評、解説書が乏しい(お分かりのとおり、暗に既存の批評、解説書を批判している)。 スコット・マクラウドの『マンガ学』は、例外的な秀逸なマンガの解説書だ。しかし、批評と実作は相補的な…

マンガのコマ割りの個人的な研究メモ

マンガのコマ割りの個人的な研究メモ 1.前書 実作にかかろうとしたが,その前に研究の必要を感じた.つまり,現実逃避だが,現実逃避にしてもまだ生産的なほうだろう. なぜ研究の必要があるのか. ただ映像作品の絵コンテを画面に割当てればいいなら,問…

2020年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)

2018年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(http://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2017/12/30/232013 ) 2019年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞)(http://snowwhitelilies.hatenablog.com/entry/2017/12/30/232013) 他薦の年間百合…